「長渕剛ふたたび」

          1月18日フジテレビ

 「英二ふたたび」という2時間ドラマのメイキング番組。「英二ふたたび」は1月24日に放送された。このドラマは以前にTBSで放送された連続ドラマ「とんぼ」の続編。主演・長渕剛・哀川翔も同じ、脚本家・黒土三男も同じ。ドラマは8年間の受刑後に英二が刑務所から出所する場面から始まる。相変わらずの「とんぼ」だった。
 話を「長渕剛ふたたび」に戻そう。
 撮影現場でスタッフを怒鳴りつける長渕さんの姿。
 脚本家・倉本聰の話。倉本さんは車のなかで長渕の曲を聴くという。そして、仕事場で怒りを爆発させる長渕の気持ちがよくわかるという。仕事、作品、場面に対する思い入れのレベル、気を使うレベルが違うのだと。それは倉本さんにも共通することだという。それは人からは、こだわりすぎや、場合によってはわがままに見られるだろう。

 「わがまま」という言葉は、よく味わうといい言葉だと思う。人気のある言葉「自分らしく」と「そのままでいいよ」を1つにしたような言葉だ。しかし、「わがまま」は悪い意味で使われる。周囲や他人の意見や思惑を無視して(あるいは反して)何かをする意味が含まれる。「自分勝手」や最近使われる「ジコチュウ」(自己中心的)も同様。
 これらには「自分らしく」「自由に」「自分を大切に」などの幸せになる要素も含まれている。いい意味の「我がまま」は大事にしたい。
 しかし、世の中にはいわゆる「わがままな人」がいる。人がどう感じるか、人がどう思うか、人がどうしたいかなど、察することができない人もいる。でもそれがかわいいという人もいる。特に恋をしているときには。

 ところでなぜ倉本さんが登場したか、その理由が私にはいちばん印象に残った。長渕さんには仕事ができない時期があった。マスコミや人の目もあり、つらい時期だったと思う。そんな時に倉本さんは「富良野に来ないか」と長渕さんを誘った。そして、長渕さんは、奥さん、お子さんと共に一時期を富良野で暮らしたという。
 富良野塾のメンバーだけのためのコンサートの話は感動的だった。倉本さんが軽く歌のリクエストをすると、長渕さんは時間をかけて準備・調子をととのえて、本当のコンサートさながらに演じてみせた。お二人の気持ちが私を泣かせる。

 「とんぼ」の歌詞には、「俺は俺であり続けたい そう願った」とある。
「我がまま」である。自主的に生きるということは、幸せになるための基本です。