ハオハオから始めよう プロローグ


いいことは好!好! 悪いことはハオハオ

「ハオハオ」は「好好」の中国語読みです。
 私は、「好!好!」は「いいな」「よかった」「うれしい」「しあわせ」などの意味、「ハオハオ」は「そうか」「こういうこともある」「まぁいいか」などの意味で使います。(音としては「ハオハオ」で同じですが、意味によってその時に感じによって言い方は少しずつ変わります)
 人生にはいいこともあれば悪いこともあります。いいことは素直に喜び、悪いことはさらっと受け流す。そんなふうに生きられたらいいんじゃないでしょうか。
 いいことがあっても気づかなかったり、当たり前のことと思って喜べなかったり。悪いことが1つでもあると、そのために苦しんだりつらい思いをし過ぎたり、一日中悪い気分で過ごしてしまったり。こんなふうに暮らしてしまうのでは、せっかくの人生がもったいないのではないでしょうか。
 そのために役立つのが「ハオハオ」という言葉なのです。「ハオハオ」は心に効く言葉です。「ハオハオ」と(心の中で)言うことで心にいい影響があります。

いいことは 好!好!    悪いことは ハオハオ

 私が「ハオハオ」を使い始めたのは、人生相談を読む時でした。私は自分の心を育てるための方法の1つとして新聞の人生相談欄を読みます。相談内容を親身になって読もうとすると、自分の心の中に様々な考えや感情がうずまいて、混乱し、つらくなることがありました。時には自分のことのように思えたり、登場人物に怒りや嫌悪感を抱いてしまったり、反対に質問者に対する反感を持ってしまうこともありました。そういう感情をコントロールするために工夫したのが「ハオハオ」という言葉を使う方法でした。
「ハオハオ」の効果を実感するために、試しに人生相談の1例を読んでみましょう。相談相手のためを思いながら読んでみてください。(まずは、「ハオハオ」を使わないで)
 私は今、ある高校に通う女子高校生です。先日、私の友人が、飛び降り自殺をしました。
 突然の悲報に、私は目の前がまっ暗になりました。
 どうしてこんなことになったのか、と泣かずにはおれませんでした。
 学校の先生は「死んではいけない。生きなければいけない」と言われます。また、世の識者たちも「強く生きねばならない」と、死に急ぐ若者に警告しています。
 けれど、だれ一人として、「では、何のために強く生きなければならないのか」 − この問いに答えてくれる人はいません。
 人間に生まれて、生きる目的も知らず、ただ名誉や利益だけを追い求める人生であっていいのでしょうか。
 現代人は、何か一番大切なものをしらないのでは・・・。
 だれか教えて下さい。本当の人生の目的を。
 いかがだったでしょうか。平然と読めましたか?
 何も感じないという人は、親身になって読んでいないか、思いやりが足りないんじゃないかと思います。
 それでは今度は、同じ相談を読みながら、1文毎に「ハオハオ」を入れながら読んでみてください。

 どうだったでしょうか。さっきと感じが違いませんでしたか?
 なんとなく「ハオハオ」の効果の一端が伝わったでしょうか。

 さてところで、「ハオハオ」というのがどこから出てきたのかというと、『三国志』(吉川英治/講談社文庫)です。司馬徽(しばき)という登場人物がいます。別名・水鏡先生。劉備玄徳に諸葛孔明の存在を教えた人です。
「日常、善悪何事にかかわらず司馬徽は、きまって(好好)と、いうのが癖だった」(孔明の巻「琴を弾く高士」より)
「善悪にかかわらず」なのです。そこが「ハオハオ」の“味噌”なのです。

 人生相談を読むことから「ハオハオ」を使い出し、少しずつ生活の中でも使うようになりました。
 たとえば、「寒いなぁ。イヤだなぁ」と思ったとします。
「ハオハオ」を入れると、こうなります。
「寒いなぁ。(ハオハオ)イヤだなぁ。(ハオハオ)」
 ここで、ハオハオは「そうか、そうか」「当たり前」「もっとも」のような感じです。寒いのも自然のこと、イヤだと思うのも自然のことです。
 また、私は「ハオハオ」を「まぁいいか」という感じでもよく使います。小さいことに“くよくよ”“イライラ”しないで、「ハオハオ(まぁいいか)」で済ませることが多くなりました。
 ハオハオが使えるようになると、小さいイヤなことは軽く受け流すことができるようになれます。

××× イヤだなぁ   ハオハオ まぁいいか

 ところで、街中や電車の車内などで無神経な人/無礼な人/マナーを守らない人/モラルがない人/危ない人がけっこう多いと思いませんか? 私はそういう人に敏感に気づくほうです。
 ある時電車内で無神経な人の行為にあった時に、心の中で「ハオハオ」と言うと同時に「こんな人もいる」という言葉が頭に浮かんできました。当たり前のことなのですが、「(世の中には)こんな人もいる」と思ったら相手に対するイライラする気もちが小さくなりました。以降はそういう人のイヤな行為には、「ハオハオ、こんな人もいる」と心の中で考えることで気にならなくなったり冷静に対応できたりするようになりました。
 人に対してイライラしやすいという人は、イライラしそうになった時に「ハオハオ(こんな人もいる)」を使ってみることをおすすめします。

なんだコイツは! イライラ   ハオハオ こんな人もいる

 こんなふうに「ハオハオ」を使うことでイヤな気もちを軽く済ませることができます。「ハオハオ」は、時には「こういうこともある」だったり、時には「まぁいいか」だったり、時には「こんな人もいる」だったりするわけです。
「ハオハオ」は自分の感情をコントロールするのに役立ちます。生活の中で実際に試してみると予想以上の効果を実感できるのではないかと思います。

 いいことがあった時には「好!好!」と素直に喜びます。
 たとえば、外に出ていい天気なら好!好!、深呼吸をして好!好!、花が咲いていたら好!好!、ステキな人を見かけたら好!好!、気もちよくあいさつできたら好!好!、おいしいものを食べて好!好!、フロに浸かって好!好!、フトンに入ってきょうも1日好!好!だった。
 こんな感じで「好!好!」と暮らしたら、けっこういい気分で過ごせそうだと思いませんか?

好!好!

 ちょっとでもいい感じがした時に、「ハオハオ」と心の中で言ってから、その理由を思いつくことがあります。
 ハオハオを使うことで自然にいいこと探し・小さな幸せ探しができます。ふだん見過ごしてしまいがちなささやかな“いいこと”に気づき、それを素直に喜ぶことができます。

「ハオハオ?(気分はどう?)」のように自分に聞くことで、その時の自分の気分に気づくことができます。気分がいい時には「好!好!」と確認でき、さらに気分がよくなります。気分がよくない時には今できる気分転換法を実践できればいいでしょう。気分がまぁまぁの時には「ハオハオ(こんなもんでいいんじゃないの)」と思えば少しは気分がよくなります。
「ハオハオ(?)」は気分転換のきっかけにもなるのです。

ニイ好? 気分はどう?    ・・・

 ふとした瞬間に思わず「ハオハオ」と心の中で発することができるようになれば、生活の中でいいことを見つけ喜べることが多くなり、気分よく過ごせる時間が増えます。
 私の場合には「ハオハオ」が心の口グセのようになっています。

「ハオハオ」の用途でとても有効なのが人の話をよく聞く時です。悩みの相談などの深刻な話でも心の中で「ハオハオ」と言いながら聞くと、自分も落ちついて聞けるし、相手もよく聞いてもらっていると感じ、癒されます。「ハオハオ」は聞き上手になれる簡単な方法でもあります。

相談があるんだけど・・・   ハオハオ

「ハオハオ」はいろんな意味で使えます。「ハオハオ、まぁいいか」など他の言葉と組み合わせて使うことで、より効果的になります。他にもたとえば、「人は人。自分は自分」といういい考え方がありますが、「人はハオハオ。自分もハオハオ」のほうが考えやすく役に立ちます。また、「ハオハオ」をきっかけによりよい方向に自分の考えを進めることもできます。(これらについては本文中に詳しく書きます)

 人の手はとても便利で、いろんなことに使えます。自分が知らない使い方も無数にあるはずです。手に道具を持つことで、より強力な働きをします。「手に職」と言われるように、手を使った技術を身につけられるということもあります。手は5本の指と手のひらだけで、機能も限られていますが、その用途は無限にあります。
「ハオハオ」もたった4文字の簡単な言葉ですが、その用途は様々です。私はいろんな「ハオハオ」の使い方をしますが、私が知らない使い方がまだまだたくさんあると思っています。また、「ハオハオ」の使い方は上達します。使い所が増え、使うタイミングがうまくなり、その心への効果も高くなっていくと私は実感しています。

 人の手について書きましたが、世の中には手が無い人もいます。手や足が不自由な人もいます。目や耳が不自由な人もいます。そういう人の中にも人や社会の役に立ち、幸せに暮らせる人はたくさんいます。有名な人ではヘレン・ケラーさんや中村久子さん、『五体不満足』の著者の乙武洋匡さん。もちろんそういう人たちはつらい思いを経験し、努力したのだと思います。
 誰にでも欠点や弱点や足りないものはあります。それは不公平なものだとも思います。でもそれを嘆いているだけでは状況は何も変わりません。何も始まりません。
 自分に無いものは(ハオハオと)受け入れ、有るものを有り難い(好!好!)と思って、それを活かしていくことが大事なのだと思います。
 無いものが自分にとってどんなに大きいものだとしてもです。それは難しいことだとは思いますが、これからの自分のために「無いものはハオハオ、有るものは好!好!」と考えて生きていくほうがいいのではないでしょうか。そういう生き方の見本となる人もたくさんいます。
「ハオハオから」なら始められるかもしれません。

ハオハオから始めよう!

 世の中には不公平なことも不正も不条理なこともあります。
 世の中には意地悪な人も悪人も思いやりのない人もいます。
 人はミスをしたり失敗したり挫折することがあります。
 思い通りにならないことも悪い出来事も運が悪いこともあります。
 誰でも不平不満に思うことも不遇を嘆きたいこともあります。
 誰にでも欠点や弱点や持っていないものはあります。
 人生には苦しい時もつらい時も落ち込む時もあります。
 物事には終わりがあり、人には別れと死があります。

 こんなことはみんなが知っていることでしょう。でも、現実に自分のこととなるとそうは思えず、不幸になってしまうことがよくあります。
 そういう時に「ハオハオじゃないか?」と自問し続ければ、「こういうこともある」と思い出せるはずです。「現実は現実」と受け入れることができます。そうすれば心が少しラクになります。
 後悔したり自分を責めたり自分はダメだと思ったりしているだけでは、つらい時間を過ごすしかありません。こんなことは信じられない、許せない、耐えられない、受け入れられないなどと思っているうちは、幸せに向かうことはできません。
「ハオハオ(こういうこともある、現実は現実)」と受け入れるところから、次へ進めるのではないでしょうか。まぁ、人間には忘れるという素敵な能力がありますから、時がたてば(結果として)現実を受け入れて歩き出すことができるのだとは思いますが。

不幸なことも ハオハオ   ヨシ! 歩き出そう!

「ハオハオ」を使うと現実だけでなく将来の事を受け入れることもできます。
 たとえば、将来に悪い事が起こる可能性がある場合に、「ハオハオ(そういうこともある、その時はその時)」と覚悟できれば、不安に打ち克てます。うまくいくこともある(好!好!)し、うまくいかないこともある(ハオハオ)ということが実際にはほとんどだと思います。さらにその先まで考えれば、一時的にうまくいかなくても結局はなんとかなるのではないでしょうか。
 私は「ハオハオ、なるようになる」と考えられるようになって、将来の不安を感じることが少なくなりました。

×××たら どうしよう・・・   ハオハオ なるようになる

 私は選択に迷った時には、「こっちも好好、あっちも好好」という考え方をするようにしています。迷うからにはどちらにもそれなりに長所があるはずです。またいずれにも問題点があるのでしょう。「こっちのいい所は好!好!、問題点はハオハオ」「あっちのいい所は好!好!、問題点はハオハオ」と考えることで、「こっちも好好、あっちも好好」と考えられます。どっちでもよしと考えられれば、選択がしやすくなります。また、どっちを選んでも「うまくいったら好!好!、うまくいかなくてもハオハオ」と考えれば、決断しやすくなります。

あっちか?こっちか? どうしよう・・・   こっちも好好 あっちも好好

 生きていく中では悪い事もあります。でも人生という少し永い目で見れば、いい経験/いいきっかけ/いいチャンス/成功への道の途中(の一場面)/神様が与えてくれた試練/自分を育てる材料などと考えられることがあります。少なくとも「こういうこともある」と学べるのではないでしょうか。
「(もしかしたらこの事も)好好じゃないの?」と自問することで、「いい事にできるかもしれない」と考えられることがあります。そう考えることはすぐには難しいかもしれませんが、どんな事も時がたてばきっと「人生の中では好好(いい事)」と考えられるようになるのではないかと思うのです。

悪い事があった もうダメだ   もしかしたら 好好じゃないの?

「あなたは幸せですか?」と聞かれたら、「はい」と答える人はけっこう多いと思います。「はい」と答えられる人は基本的には幸せなのだと思います。今、日本に暮らす人はみんな基本的に幸せなのかもしれません。
 何か悩みを抱えてしまった時にも、不幸な出来事があった時にも、ほとんどの場合には基本的な幸せは変わらないはずです。「好好(なこともまだあるん)じゃないの?」と自問すれば、「一部問題はあるけれど、基本的には幸せ」「一時不幸になることもあるけれど、基本的には幸せ」であることを思い出せるかもしれません。
 つきつめれば、「生きているだけで幸せ(好好)」と考えられるのではないか、「今は幸せ」といつでも思えるようになれるのではないかと思ったりもします。
 ここまでくると“超幸せ思考”という感じで考えられないという人もいると思いますが、「ハオハオ」にはそこまでの可能性もあるということです。

問題はあるけど ハオハオ   基本的には幸せ 好好

 いろいろ書いてきましたが、すべて「ハオハオ(?)」と心の中で言うことから始まるのです。
 私は「困った時のハオハオ頼み」と言って、困った時には「ハオハオ」を使えばなんとかなると思っています。余計なことを考えずに、目の前のことを一つ一つ「ハオハオ」と受けとめ、今自分にできることを誠実に行えばいいと思っています。
「ハオハオ」と心の中で唱え続ければ、ある程度は感情をコントロールすることができます。動転して取り乱さない、感情的になって後悔するようなことをしないだけでもいいのではないでしょうか。

ハオハオ ハオハオ・・・

 ある時、仲間で話をしている時にずっと黙って聞いていた私が「そういうこともあるよ」のようなことを言ったら、ひとりの友達が「悟ってるみたいだね」と冗談半分に言いました。
 どんなに悪いことも(ハオハオと)受け入れ、どんなに小さないいことでも(好!好!と)喜べる人がいたとしたら、「悟っている」ということになるのかもしれません。「ハオハオ」というたった4文字の言葉を身につけただけなのに。
「ハオハオ」はもしかしたら「なまけ者の悟り方」なのかもしれない、とか思うことがあります。

ハオハオ 好!好!

「ハオハオ」という言葉に違和感があるという方は、「いいことは素直に喜ぶ(好!好!) 悪いことは黙って受け入れる(ハオハオ)」というような考え方や、本書の中で「ハオハオ、○○」や「ハオハオ(○○)」と書いてある「○○」の考えだけでも参考になさったらどうかと思います。

「ハオハオ」は、ほとんどの時に、どんな所でも、誰でもが、様々な事で、いろんな意味で、容易にできる方法です。
 私が知る限りでは一番簡単で一番役に立つ幸せになる方法です。
 よろしかったら、お試しください。あなたのお役に立てれば幸いです。

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