10章 くよくよしない考え方ができない、
とくよくよしないために
『くよくよしない考え方』(本多時生) 目次
1章 小さいことでくよくよしないために
2章 人のことでイライラしないために
3章 決断で迷ってくよくよしないために
4章 過ぎたことでくよくよしないために
5章 まだ先のことでくよくよしないために
6章 人間関係でくよくよしないために
7章 自分のことでくよくよしないために
8章 生きることでくよくよしないために
9章 大きい悩み・問題に対するくよくよしない考え方
10章 くよくよしない考え方ができない、とくよくよしないために
85 「くよくよしない自分になろうという決意」
この本を読んだだけではくよくよしない考え方を身につけることはできません。くよくよしない考え方ができるようになるためにはそれなりの努力が必要です。
この本を読んで「私にはくよくよしない考え方ができない」と言う人がいると思います。そのためにくよくよしてしまうのでは、なんのためにこの本を読んだのかわからなくなってしまいます。
長い歳月をかけて形成してきた自分を変えるのは大変なことです。クセや習慣を直すことは簡単にはできません。自分の考え方のクセや習慣には気づけない人も多く、特に難しいような気がします。考え方のクセや習慣を自分の性格だと思い込んで「変えられない」とあきらめてしまっているのかもしれません。
「くよくよしない自分になろう」という強い決意が必要なのだと思います。
その決意をした上で努力を続ければ、少しずつくよくよしない自分になれるでしょう。
【くよくよしない考え方ができない理由】その1
本気でくよくよしない自分になりたいと思っていない
86 「“くよ”ならいい」〜完璧主義はつらい〜
“くよくよ”するのはよくありません。
“くよくよ、くよくよ”するのは、もっとよくありません。
“くよ”ぐらいならいいのではないでしょうか。
「くよくよするな!」と言われても、「くよくよしないようにしよう」と思っていても、無意識に、ついくよくよし始めてしまうのはしかたがありません。そんな時に「くよくよしてはいけない」と自分を責めたら、つらいだけです。
「絶対にくよくよしちゃいけない」より「“くよ”ぐらいならいい」のほうが現実的だし、気分的にもラクだと思うのです。
“くよ”ぐらいでやめることができるようになれば、くよくよする時間は大きく減ることでしょう。
【くよくよしない考え方ができない理由】その2
「絶対にくよくよしてはいけない」という完璧主義
87 「第一関門は“くよくよ”に気づけること」
くよくよしない考え方ができるための第一の関門は、自分の“くよくよ”に気づけることです。ところが自分の“くよくよ”にはなかなか気づけないものです。だから、くよくよと長い時間、イヤな気分で過ごしてしまうのです。
自分の“くよくよ”に気づくための一つの方法は、自分の気分に敏感になることです。“くよくよ”は様々なイヤな感じをともないます。悲しい/つらい/悔しい/腹立たしい/イライラ/不安/悩ましいなどのイヤな気もちに気づくことで、自分が“くよくよ”していることがわかります。自分のイヤな気もちに気づけるようになるためには、「気分よく過ごそう」と日頃から心がけることが大切です。
もう一つの方法としては、自分の“くよくよ”のクセやパターンを知ることです。それを知っていれば、「あ、このパターンだ」「またこのクセがでちゃった」と気づけることが多くなります。
自ら気づいて「あ、くよくよしている」と言えれば、“くよくよ”から抜け出すきっかけになります。
【くよくよしない考え方ができない理由】その3
自分の“くよくよ”に気づけない
88 「“くよくよ”をやめるには」〜いいことを始める〜
自分の“くよくよ”に気づけたとしても、そのあとどうしたらくよくよをやめることができるでしょうか。
その時に合いそうな「くよくよしない考え方」を実践できれば、少し気もちがラクになれたり、考えを切り替えるきっかけになるでしょう。
でもそれで、完全に“くよくよ”の気分を無くしてしまうことはできないでしょう。ある程度“くよくよ”が軽くなったら、他のことを考えたり、何かを始めることで、いつのまにか“くよくよ”を忘れることができるのだと思います。
「くよくよしているのに気づいたら、何かいいことを始めよう」(1章参照)
楽しいことや好きなことや好きな人のことなどを考えたり、やりたいことや夢中になれることなどをすることが、結果として“くよくよ”を打ち消してくれるのだと思います。
【くよくよしない考え方ができない理由】その4
“くよくよ”に気づいてもどうしたらいいかわからない
89 「くよくよしない考え方ができたらいいな」
「くよくよしない考え方ができない」と言わないほうがいいと思います。「できない」と言ってしまうと実際にできなくなってしまいます。「できない」と言ってしまうのは、自分に暗示をかけているようなものです。
私はそんな時には「できたらいいな」と言うことにしています。できなくてはいけないというプレッシャーもなく、できないとあきらめたわけでもありません。
「できない」も「できたらいいな」も、「今はできない」ということには変わりありませんが、「できたらいいな」はこれからも努力を続けるという意味が含まれています。それに、「できない」と考えるよりも「できたらいいな」と考えたほうが、自分の気もちも明るくなるでしょう。
また、この本を読んで、「そういう考え方もあるんだ。でも私には、そんなふうに思えない」と考えてしまう人もいると思います。そんな時には、
「○○と思えたらいいな、○○と思えたらいいな、○○(と思えたらいいな)」
と言ってみてください。そうすれば、できたも同然です。
後ろに余計な「と思えたらいいな」がついていますが、「○○」と思えたのです。元々、できればいいことは、「○○と思う」ことなのですから。(インチキっぽいですか?)それで半分できたことにするというのも一つの方法です。
「私にはできない」と簡単にあきらめてしまっては、いつまでたってもくよくよしてしまう自分を変えることはできません。「でき(るようになれ)たらいいな。ではどうしたら?」と考え、努力を続ければきっとくよくよしない考え方ができるようになれるでしょう。
「できない」と考えるのと「できたらいいな」と考えるのでは、どちらが自分にとっていいのでしょうか。
【くよくよしない考え方ができない理由】その5
「私にはできない」とあきらめてしまう
90 「試してみて実感する」〜心で感じる〜
生き方や考え方などに関する本を読んで、「納得した」「ためになった」などと思っても、結局は忘れてしまって自分の生活は何も変わらなかったという経験をした人は多いと思います。
「試してみる」ことが何よりも肝心なのです。
「頭でわかっても」それだけでは役には立ちません。実際に自分で試してみてその効果を「心で感じる」ことが大事なのです。
くよくよしない考え方を試す場は自分の実生活の中です。
イヤな気もちになった時がくよくよしない考え方を試すチャンスです。くよくよしやい人には試すチャンスがいっぱいあるということです。
試してみて少しでも効果が感じられたら、それを喜んでください。そうすればまた使いたくなります。
【くよくよしない考え方ができない理由】その6
くよくよしない考え方を実際に試してみない
91 「一つ一つ」〜レパートリーを増やしていく〜
くよくよしない考え方はたくさんあります。
その中から「一つ一つ」試して、「一つ一つ」自分なりに工夫して、「一つ一つ」身につけていくという積み重ねが将来の「くよくよしない自分」につながるのです。
まずは、自分に合いそうなものを見つけて試してみればいいでしょう。一つ一つ試して、その中から自分の役に立つ考え方を身につけていけばいいのです。この本に書いてある一つ一つの考え方はそれほど複雑ではありません。一つの考え方を試してみることは容易にできると思います。
今の自分には合わない考え方もあります。そういうものはやらなくてもかまいません。それをヒントに自分なりの考え方を思いつけば、それもいいと思います。「これは私には合わない。自分ならこのように考える」というのが見つかればいいのです。
くよくよしない考え方を一つ一つ身につけていき、レパートリーが増えればそれだけ多くの場面・状況で効果的な考え方ができるようになります。くよくよしなくてすむケースが増えます。
【くよくよしない考え方ができない理由】その7
どうしたらくよくよしない自分になれるかがわからない
92 「少しずつ」〜急には変われない〜
くよくよしてしまう考え方はクセや習慣になっていることが多いのです。くよくよしない考え方をしようと心がけて努力しても、急には変われないでしょう。
少し努力したぐらいで「変わらない」「私にはできない」などと言って努力をやめてしまったら、いつまでたっても“くよくよ”の習慣は続いてしまうでしょう。
「急には変われない」という覚悟と、「少しずつ変わっていける」という意識をはっきり持つことが大事だと思います。
くよくよしない考え方を心がける、うまく使えるように工夫するという努力を続けていけば、少しずつくよくよしない自分になっていけます。
「少しずつ」という意識があれば、くよくよする時間や回数が少しずつ減っていくことが実感できると思います。その実感を自覚できるようになれば、くよくよしない考え方の心がけを続けることができるでしょう。それが習慣になれば、「少しずつ」でも時間の経過とともに大きく変わることができるでしょう。
【くよくよしない考え方ができない理由】その8
「変わらない」と努力をやめてしまう
93 「自らを省みる時間を持つ」〜工夫と努力〜
多くの人は自分がくよくよしていることに気づかないで生活しているのだと思います。いつのまにかくよくよし始めて、いつのまにか平常に戻っているのです。
気づかないうちに多くの時間をイヤな気分で過ごしてしまうのはもったいないのではないでしょうか。
流されがちな生活の中でもきちんと自省して、くよくよしない自分になるために役立てるのがいいのです。
そのためには、自分を省みる時間を持つことをおすすめします。一日の終わりでも、週末でもいいから、自分の生活の中でイヤな気もちになった時を想い返してみれば、きっと気づけることがあると思います。
その中でも役に立つのは、「私には、こういう時にイヤな気もちになるクセがある」というのを知ることです。「こういう時に」「こういう場で」「この人のことで」「こういう事で」「こんなふうにしたり・考えたりすると」、「どんなイヤな気もちになる」ということに気づければいいのです。
くよくよするクセに気づいた時には、「またこのクセだ。まぁいいか」などで済ますことができればいいのです。もっと効果的な考え方を見つけて、こういう時には「こう考えてみたらいいのではないか」「このくよくよしない考え方を使ってみよう」と自分なりの対策を用意できればなおいいでしょう。
生活の中でくよくよしない考え方を試してみたら、その時のことを省みるのもいいことです。「どうだったか?」「どのくらい心にいい影響があったか?」を想い出して、少しでもいい効果があったら喜べばいい。少なくとも自分が試したことをほめ、少しでも進歩したと感じられたらそれを喜べばいいのです。
試してみて違和感を感じたら、自分に合いそうな形・言葉遣いにアレンジしてみてください。「こうしてみたらどうだろう」などと自分なりに工夫すると効果がアップすることがよくあります。
「くよくよ改善ノート」でも日記でも、どんな形式でもいいから書いてみるのもいい方法です。
このような自省をしながら工夫と努力を続ければ、「一つ一つ、少しずつ」着実に進歩することができるでしょう。
【くよくよしない考え方ができない理由】その9
工夫と努力が足りない
94 「いい心の姿勢をキープする」〜一大事業〜
くよくよしない考え方を心がけても、なかなかうまくできないこともあります。くよくよしない自分になろうと決意しても、なかなか進歩が感じられない時もあります。
そこであきらめて努力をやめてしまったら、くよくよしない自分にはなれないし、これからの生活の中で多くの時間をくよくよして過ごすことになってしまいます。
「自分を変える」ということは一大事業だと思うのです。そう簡単にはできないのが当たり前なのではないでしょうか。でも努力を続ければ少しずつできるようになります。長い目で見て自分を育てていけばいいのではないでしょうか。
「くよくよしない自分になろう」という決意と、「くよくよしない考え方を心がけよう」という意識を再確認して、いい心の姿勢をキープすることが重要です。
くよくよしない考え方がうまくできないと悩んでしまったり、くよくよしない自分になることをあきらめてしまいそうになった時には、この章を読み直してみてください。何かヒントが見つかると思います。
【くよくよしない考え方ができない理由】その10
あきらめて努力をやめてしまう
1章 小さいことでくよくよしないために
2章 人のことでイライラしないために
3章 決断で迷ってくよくよしないために
4章 過ぎたことでくよくよしないために
5章 まだ先のことでくよくよしないために
6章 人間関係でくよくよしないために
7章 自分のことでくよくよしないために
8章 生きることでくよくよしないために
9章 大きい悩み・問題に対するくよくよしない考え方
10章 くよくよしない考え方ができない、とくよくよしないために
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