『くよくよしない考え方』 はじめに

 
はじめに

 私は、精神科医でもカウンセラーでも心理学者でも宗教家でもありません。
 私は元来、くよくよしやすい人間です。
 なんとかしようと、様々な本をたくさん読みましたが、変わることはできませんでした。実際にどうしたらくよくよしないですむかがわからなかったからです。
「くよくよするな!」と人から言われても、「くよくよしないようにしよう」と自分で思っても、それだけで簡単にできるくらいならくよくよなんてしません。
 どうやったら実際にくよくよしないですむか、それが問題でした。

“くよくよ”というのは、何かを考えて、イヤな気もちになり、それがある程度続くことのようです。
 そこで、「考え方を変えればいいんじゃないか」と自分なりに工夫を重ねてきました。今ではだいぶラクに暮らせるようになりました。本書には、私が生活の中で実践して役に立つと実感している「くよくよしない考え方」を紹介しました。

 あなたは知らず知らずのうちに、“くよくよ”“イライラ”して過ごしてしまうことがありませんか?
 気づかないうちに多くの時間をイヤな気分で過ごしてしまうのはもったいないのではないでしょうか。
 くよくよするよりもイライラすることのほうが多いという人もいます。“くよくよ”も“イライラ”もその元・種は同じで、イヤなことや悩みについて考えて自分が「くよくよ」と感じるか「イライラ」と感じるかの違いです。くよくよしやすい事とイライラしやすい事があり、本書の中では“イライラ”という言葉も使っていますが、多くは“くよくよ”という言葉を使いました。イライラしやすいという人は、本書の中の“くよくよ”を“イライラ”に置き換えて読まれるといいでしょう。

 くよくよすると「健康によくない」「長生きできない」などとよく言われます。「美容上よくない」という女性もいます。そういうことも大きいとは思いますが、何よりもくよくよすると今を愉しめなくなってしまいます。
 くよくよするのがクセや習慣になってしまっている人は、生活を愉しむことがなかなかできません。クセや習慣が変わらなければ、それがずっと続くことになってしまい、くよくよした生き方をすることになってしまいます。

 くよくよしてしまうのは「性格だからしかたがない」とあきらめている人が多いような気がします。性格の部分もあるとは思いますが、ほとんどは考え方のクセではないかと思うのです。悪いクセは気づいた時にやめればいいのです。考え方のクセも出てしまった時にその考えをストップし、方向転換すればいいのです。
 くよくよしない考え方をしようと思っても「感情が許さないからできない」という人もいます。考え方を変えれば感情も変わるのです。本当にくよくよしたくないのなら、「感情の問題」と簡単にあきらめずに、考え方を変える努力をしたほうがいいのではないでしょうか。
 くよくよしやすい人は「くよくよする習慣」があるようです。くよくよする考え方をして悪い気分になってもそのまま放っておくことです。「くよくよしない考え方を心がける習慣がない」ということです。習慣は意識してつくることができます。そのためには「くよくよしない自分になろう」という決意と努力が必要です。習慣になればくよくよする時間が減り、その分愉しめる時間が増えるでしょう。

 本書はくよくよしやすい人のため本です。くよくよしない人が読んでも、「どうしてこんなことにくよくよするのか」「気にしなければいい」「もっと前向きに考えればいい」などと思われるかもしれません。くよくよしない考え方ができる人にとっては「当たり前」と思われることもあるでしょう。
 くよくよしたくてくよくよしているのではない、気になってしまうのだからしかたがない、前向きになれないことだってあるのです。わかっていてもできないことがあるのです。そういうことを承知した上で、「くよくよしない考え方」を提案しました。
 本書の中には、くよくよしてしまったその場で対処するための考え方、“くよくよ”考えずに“よりよく”考えるための考え方、悩みや問題を抱えてくよくよ生活しないための考え方、くよくよした生き方をしないための考え方、「くよくよしない自分になる」ための考え方などをできるだけ具体的に書きました。
 生活の場で実践しやすく、役に立つ考え方を選びました。簡単な考え方も多く、試してみればすぐにその効果が実感できるでしょう。

 あなたが、くよくよしない考え方ができるようになり、もっと生活を愉しめるようになること、「くよくよしない自分」になれることを願っております。


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