『子どもに伝えたいこと』
これは子どものために書きました。しかし、子どもの年齢や個性によって、話す内容と話のしかたを変える必要があると思います。そのためにはまず伝えるおとなが読んで何かを感じてください。そして、それぞれのお子さんにあった話を、あった時期に、あった言葉で伝えてあげてください。
おとなのためのこの本のもうひとつの使い方
お子さんのいない人もいる人も、自分の心の中には「子どもの自分」がいます。
ここに書いてあることを「子どもの自分」に語り聞かせてあげてみてください。
「子どもの自分」の素直な心に出会えるかもしれませんよ。
生きる1 自分を大切にする 大切な人 何がしたい? 生きる2 出口
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あなたはだれ?
「ワタシはワタシ」「ボクはボク」「ワタシは×××(名前)」
あなたは世界でひとりだけ。
とっても貴重な人なんだよ。
だから、自分を大切にしようね。
生きる1 自分を大切にする 大切な人 何がしたい? 生きる2 出口
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あなたはなに?
「ニンゲン」
人間ってなに?
「いちばん頭のいい動物」
でも地球には、犬や猫のような動物も、魚や虫もいるんだよ。
木や花や草も生きているんだよ。
みんな地球の仲間だよ。
仲間は友だち。友だちにはやさしくしようね。
頭のいい人とやさしい人、あなたはどっちが好き?
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あなたが生きているのはいつ?
「今」
あなたが生きているのはどこ?
「ここ」
今、ここ(日本)に生まれたのは、すごく幸せなことなんだよ。
幸せっていちばん大事なものなんだ。
幸せって「今、ここ」にしかないんだよ。
でも「今、ここ」ってことは、「いつでもどこでも」ってことなんだよ。
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あなたはどこに住んでいるの?
「○○県(都、道、府)△△市(区、町、村)」
それはどこ? 「日本」
日本はどこにあるの? 「地球」
地球って何歳か知ってる? 「46億歳らしいよ」
地球はどこにあるの? 「宇宙」
宇宙はどこにあるの? 「???」
宇宙って何歳か知ってる? 「???」
世の中にはわからないことっていっぱいあるんだ。
わからないことは「わからない」って正直に言っていいんだよ。
宇宙って、すごーく、すごーく広いんだ。
となりの駅より、アメリカより、月や太陽より、たくさんの星たちより、
ずっと向こうがわまで宇宙はあるんだよ。
その広い宇宙の中に、あなたは生きているんだ。
だから、「今、ここ」にいる自分を大切にしようね。
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自分を大切にするってどんなこと?
自分をまもること
自分が苦しかったりつらかったら自分を助けること、自分にやさしくすること
自分を強くすること
自分の身体と心を強くすること、甘やかさないこと、きたえること
自分のやりたいことをすること
自分のやりたいことを探すこと、やりたいことをやれるように努力すること
自分のまわりの人を大切にすること
「なりたい自分」になること
自分で決めること、自分で考えて生きていくこと
あなたは自分を大切にしてる?
生きる1 自分を大切にする 大切な人 何がしたい? 生きる2 出口
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あなたは「イタイ」って感じたことある?
おなかがいたくなったり、歯がいたくなったりしたことがあるでしょう?
ころんでヒザをすりむいたらヒザがいたいよね。
どうしていたくなるかわかるかな? むずかしいね。
でもいたくなるから、身体の悪いところがわかるんだよ。大事なことなんだ。
あなたは、心がいたいってわかる?
じゃあ、心が苦しいってわかる?
じゃあ、誰かに叱られて泣いたことある?
身体のどこもいたくないのに、泣いちゃったことあるんじゃない?
それは、たぶん、心がいたかったから泣いちゃったんだよ。
心がいたいのは、心の悪いところを教えてくれているんだ。
だから、悪いところを探して、いたくなくなるように治そうね。
自分で治せなかったら、だれかに「助けて」って言おうね。
きっと助けてくれる人がいるはずだよ。
身体のお医者さんがいるように、心のお医者さんだっているんだよ。
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苦しいことやたいへんなことは自分をきたえてくれるんだよ。
ラクばかりしていると弱い人になっちゃうんだ。
苦しいことから逃げてばかりいては、
いつになってもその苦しいことに追いかけられちゃうんだ。
苦しいときにいっしょうけんめいにがんばると強くなれるんだよ。
強くなればそれは苦しいことじゃなくなるんだ。
でも、どうしてもがまんできないくらいに苦しいときには
「助けて」って言おうね。
ほんとうに苦しいときに「助けて」っていうのは、勇気のある強い人だよ。
あなたは強い人になりたくない?
強い人になれば、小さなことで苦しまなくてよくなるんだよ。
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あなたは困ったときに「助けて」って言える?
あなたは困ったときに「助けて」って言える人がいる?
でも「助けて」ってなかなか言えない人って多いんじゃない?
どうして言えないのかなぁ?
はずかしいと思うから? かっこ悪いと思うから?
言っても助けてくれないと思うから?
人にめいわくをかけたくないから?
まだ、がまんできるから? 自分を強くするため?
ほんとうに困ったときに「助けて」って言うのは、
はずかしいことでもかっこ悪いことでもないんだよ。
話を聞いてくれて助けてくれるやさしい人が、きっと、いるはずだよ。
でも、自分にやさしくすることで、ひとりでがまんするのも立派なんだよ。
ただ、自分や人を傷つけそうになったら、
絶対に「助けて」って言わなきゃダメだよ。
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自分にやさしくすることときびしくすることは反対のこと?
苦しいときに自分を助けることは、自分にやさしくすること。
苦しいときにがんばるのは、自分をきたえること。
どちらも大切なことなんだ。どっちがいいかはそのときによるんだよ。
苦しいときには自分でよく考えてごらん。
がまんするのがほんとうにつらいときには、自分を助けよう。
がまんすれば自分が強くなれると思えたら、がんばってみよう。
自分で自分をいじめてるだけなら、そんなことはすぐにやめよう。
やめることが自分を甘やかすことだと思えたら、自分にきびしくしよう。
でも、それを決めるのはむずかしいことなんだ。
よく考えて決めたんなら、それでいいんだよ。どっちでもいいんだよ。
自分を強くすれば自分にもっとやさしくできるんだよ。
強い人はほかの人にもやさしい人なんだ。強くてやさしい人になろうね。
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「自分は何かができない」、「自分には何かがたりない」、
「自分はダメだ」なんて自分をせめるのは、
自分にやさしくないし、自分を弱くしてしまうんだよ。
「今はできなくてもいいんだ。いまにできるようになるよ」みたいに、
自分にやさしくするのがいいんだよ。
自分ができたことは「よくやった。えらい」って、自分をほめてあげよう。
自分をほめることが自分を強くすることになるんだよ。
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あなたはどうして生まれたの?
「お父さんとお母さんがいたから」
それに、お父さんとお母さんの、お父さんとお母さんがいたからなんだよ。
おじいちゃんとおばあちゃんだね。
おじいちゃんとおばあちゃんにもお父さんとお母さんがいたんだ。
だから、ずっと前のお父さんたちとお母さんたちがたくさんいたんだよ。
その人たちがみんないたからあなたが今いるんだよ。なんかすごくない?
だから、お父さんとお母さんを大切にしよう。
おじいちゃんとおばあちゃんにもやさしくね。
生きる1 自分を大切にする 大切な人 何がしたい? 生きる2 出口
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あなたはだれが好き?
お父さんは?お母さんは?
お兄ちゃんは?お姉ちゃんは?いもうとは?おとうとは?
おじいちゃん、おばあちゃん、友だち、先生は?
好きな人がいるのはいいよね。みんな好きだったら最高だね。
好きな人にはやさしくね。
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あなたにはこわい人っている?
こわい人って自分にとっていいひとなんだよ。
あなたが好きだから叱ってくれるんだよ。
どうでもいい人なんて叱ってもしょうがないものね。
今はわからないかもしれないけど、
あなたがおとなになればきっとわかるよ。
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あなたのお父さんは家族のために働いている。
あなたのお母さんも家族のために働いている。
あなたのためにも、お父さんとお母さんは働いているんだよ。
あなたは誰かのために働いてる?
勉強するのは自分のためだよ。
誰かがあなたのために何かをしてくれたら、
ちゃんと「ありがとう」って言おうね。
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あなたは何がしたい?
なんでもいいけど、本当にやりたいことをやろうね。
たとえば、後でやってよかったと思えるようなことや、
すごく感動できるようなことや、
一生の思い出になるようなことや
「よくやった」って自分をほめてあげられること。
こういうことがたくさんあるといいよね。
これからひとつずつ、自分でみつけて、自分でやるようにしようね。
探せばきっとみつかるはずだよ。
生きる1 自分を大切にする 大切な人 何がしたい? 生きる2 出口
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あなたは何になりたい?
なんでもいいけど、考えるとワクワクするようなこと、考えようね。
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あなたは自分を変えてみたいって考えたことある?
自分がもっとこうだったらいいのになって思ったことある?
そういうふうに思うことはとてもいいことだよ。
でも、今のあなたはそのままでも相当にいいんだ。
今のあなたは自然にできたのだから、それなりにいいんだよ。
だから、自分を変えるのなら、ほんの少しでいいんだよ。
「そのままでもいいんだ」って、思うだけでもいいんだよ。
自分を変えたいなら、ひとつだけいつもとちがうようにしてみよう。
それで気持ちがよくなかったら、元にもどせばいいんだ。
ひとつずつ変えていけば、いつのまにか大きく変わることができるんだよ。
だから、少しずつ「なりたい自分」になっていこうね。
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あなたはこれからも長いあいだ生きていくんだよ。
死ぬまで生きていくんだよ。
たぶんいろいろなことがあるよ。
でも、すべてはあなたが決めるんだよ。自分の人生だから。
これから何をするか、起ったことをどう思うか、はあなたしだいなんだ。
いつも幸せでいられるように、自分で考えて生きていこうね。
生きる1 自分を大切にする 大切な人 何がしたい? 生きる2 出口
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あなたは何のために学校で勉強しているの?
あなたは何がしたい?それはどうして?
あなたは何になりたいの?それは何のため?
「自分は何のために生きているのか?」とか「何がしたいのか?」とか、
そういうことを考えることは大事なことなんだ。
でも、考えすぎないでね。苦しくなるまで考えちゃダメだよ。
答えがまだ見つからなくてもいいんだよ。ゆっくり考えようね。
悪いことばかり考えちゃダメだよ。心がいたくなるから。
心がワクワクするようないいことをたくさん考えようね。
そのほうが幸せだから。
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幸せなことって、いっぱい、いっぱい、あるんだよ。
楽しいこと、うれしいこと、おもしろいこと、感動すること
好きなことをすること、好きな人といっしょにいること
ワクワクできること、やすらかなきもちになれること、夢中になってできること
人にやさしくできること、人に「ありがとう」と言えること
やりたいことができたこと、いっしょうけんめいにがんばったこと
ほんとうはあたりまえだと思っていることでも幸せなことがあるんだよ。
生まれたこと、健康なこと、家族がいること、自由なこと
もっともっと数えきれないほど幸せっていっぱいあるんだ。
だから、生きていることは幸せなことなんだよ。
だって、幸せがいっぱいあるんだから。
あとがき
子どもに伝えるなら、「ソフィーの世界」のように手紙による方法もおもしろいかもしれません。また、絵をかいたり、本や雑誌の写真・イラストやお子さんの写真の切抜きなどをはったりして、手製の絵本を作って誕生日にプレゼントしたら、一生の宝物になるのではと思います。
子どもには理解できないこともたくさんあると思います。でも、おとなになってから気づく何かが、心のどこかに残ればいいのではないかと思います。
生きる1 自分を大切にする 大切な人 何がしたい? 生きる2 出口
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